阿吽と、音

 

雅楽で龍笛を吹き始めて4年目になりました。

 

最初は右も左もわからないド素人状態で、笛の音も全く出ず、YouTubeで調べまくってひたすら練習して・・・

 

2週間経って、やっとはじめて「ピョロ〜」という情けない音が出たときには、あまりの感動に涙がでました。

 

ありがたいことに、雅楽を始めてから3ヶ月後に演奏をお披露目する場があり、仲間たちと必死こいて、ぶつかりながらも夜な夜な練習する日々が続きました。

 

そうして、楽譜もリズムも存在しない雅楽の世界で、唯一頼れるのは、〝呼吸〟だということを知りました。

 

自分の呼吸に集中する。

仲間の息づかいを感じて合わせる。

演奏を聴く方々の息の音と融合する。

そして究極は、天地自然の呼吸と一体になる。

 

そうやってはじめて、雅楽の曲というのは成り立つのだと、感じるようになりました。

 

世界のあらゆる宗教の行法や健康法の中でも、〝呼吸法〟というのは奥義といってもいいくらい大事にされてきて、

息を吸って吐くという行為そのものが、生命活動の根源であるという当たり前のことを、雅楽を通して実感してきました。

(鬼滅の刃でも、「呼吸」無くして技は繰り出せないですね😌)

 

「阿吽の呼吸」「息が合う」と言うように、深く信頼しあう関係性には、必ず呼吸の一致がある。

 

そして、安心できる間柄は、一緒にいるだけで、自然と呼吸が深くなる。

逆に、ギクシャクしている関係は、呼吸が浅くなる。

 

だから、雅楽を演奏する上では、少なくとも一緒に演奏する仲間全員が〝呼吸が深くなる関係〟じゃないと、よき演奏にはならないということです。

(理想は、普段関わる人全員と、呼吸が深くなる関係になることですが・・)

 

演奏技術の向上はもちろん必要ですが、それ以上に、

物理的な次元を超えて、人の魂に響く音の振動を伝えていくには、
日々の〝自分の在り方〟〝人との向き合い方〟が重要になるのだと思います。

 

笛を吹いてる時だけじゃなくて、普段から、呼吸を深くして、仕事をする。

 

関わる人の呼吸すら深くなるような自分であり続ける。

 

目の前のことだけに囚われず、常に高所大所から物事をみる。

 

けれども、広い視野を持ちながら、目の前のことを大事にする。

 

きっと、その生き方が、〝音〟に乗って伝わっていくのでしょう。

 

そう思うと、まだまだ未知なる〝音〟に出会えるはずだし
誰も聞いたことのない〝音〟をめざして、精進したいと思います。

 

 

ps
写真は、先日のむすび祭で演奏させてもらったときの。
あんなに大きなホールは初めてで、貴重な機会をありがとうございました😌