こんにちは。執筆屋あんちゃです。
ここ2年ほど、ずっと歴史を勉強しておりまして。
やればやるほどその面白さに惹かれてます。こんなに自分の人生に活かせるものは無いなって。
学校で習う歴史は、そのほとんどが「〇〇年にこんなことがありました」という事実の羅列で、その出来事の背景にどんな人の思いがあったかとか、なぜそれが起こったのか、という、一番肝心な部分が描かれていません。
だから「歴史は暗記科目」という認識になり、皆つまらなそうに勉強するわけですよね。
(もちろん私もその一人でしたが・・・)
歴史上のある事実に対して、どういう意味づけ・解釈をするのか。
その思考力を鍛えるのが、歴史を学ぶ醍醐味だと思います。しかもそれって自分の人生で起こるさまざまな出来事への解釈にも活かせるんですよね。
実は、そういう歴史の学び方に気づかせてもらったのが、国史啓蒙家・小名木善行先生です。
小名木先生と初めてお会いしたのは約2年前。
私がライティングを教わっている新田さんが主催する、歴史×ビジネス講座「NEXT TRIBE」に、講師として来られていたのが始まりでした。
「歴史を学ぶことで、ネガティブをポジティブに変える」を理念に活動され、ご自身のブログでも毎日精力的に発信し続けて12年以上経つそうです。
そんな小名木先生が、歴史を伝える道に進んだきっかけや、歴史を学ぶ真髄について教えていただきました。
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●プロフィール
国史啓蒙家 小名木善行(おなぎぜんこう)
昭和31年生まれ。浜松市出身。上場信販会社を経て、現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。またインターネット上でブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。古事記・日本書紀・万葉集などの原文を丁寧に読み解き、誰にでも納得できる日本論を発信。
《著書》日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、その他執筆多数。
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歴史の情報発信をはじめるまで
あんちゃ:小名木先生が、歴史の発信を始めるようになったきっかけは、何だったんですか?もともと会社員として、バリバリ働かれていたとお聞きしました。
小名木:そうですね。20代からずっと信販会社に勤めていましたが、1998年頃に、大手銀行が経営破綻したところから、私はその系列の信販会社に勤めていたので、影響を受けたわけですね。
その後、前職の社長のご厚意で、別のカード会社で働かないかと誘われまして。最初は断ろうと思ったのですが、その時にはすでに、住まいも役職も給料もすべて決まっていたので、「そこまでしてもらって断るのは男が廃るな」と思い、転職しました。
あんちゃ:バブル崩壊の流れを受けた怒涛の期間を経験されていたのですね・・・!そこからまたしばらく会社勤めされたのですか?
小名木:いえ、そこの会社では4年ほど働いて退職しました。その後は、一応個人で独立したものの、特に仕事もなく、毎日暇を持て余していましたね(笑)
あんちゃ:小名木先生にもそんな期間があったんですね(笑)
小名木:ちょうどその頃、知人が「最近ブログが流行っているらしい」という話をしてくれて、そこで初めて、軽い気持ちでブログを書き始めたのです。
あんちゃ:私もそうだったのですが、ブログを始める理由って、意外と些細なことですよね。(笑)
小名木:最初は、なんでもない「中年おやじの日記」みたいな感じだったのですが(笑)
途中から、これまでの金融業界での経験を活かして、ODAに関する記事や、国債の仕組みについて記事を書いてみたんですね。そうしたら、なんとその記事が炎上してしまったんです。
あんちゃ:まさかの炎上(笑)
小名木:各所から「そんな意見は通用しない!」「それは間違っている!」と非難轟々でした(笑)
私は、金融の世界にいたからこそ、良い面も悪い面もいろいろ見えたので、その真実をありのまま書いたのですが、本当のことを書いたのに批判されるのはなぜだろう?と疑問に思ったわけです。そこで、自分が常識と思っていることが、世間では全く受け入れられていないことに気づいたんですね。
あんちゃ:なるほど。わたしも炎上経験があるのでよくわかります(遠い目)
小名木:そこから、多くの国民は、メディアやマスコミに煽られて、ねじ曲がった情報や、モノの見方を植え付けられていることを知りました。だから、表面的な言葉だけに反応して、批判してしまう。
だから、今の政治や教育を語る前に、それよりも前の段階・・・基本的な知識や教養を伝えていかないといけないなと思いました。そこからですね、歴史を伝えるようになったのは。
あんちゃ:当時は、国民の大半がマスコミから情報を得ているから、偏った見方になってしまうのはある意味当然ですね。。小名木先生も、そういう批判をたくさん受けてきたんですねぇ・・・
小名木:いろいろ嫌がらせを受けたこともありますよ(笑)まぁ、でも私も頑固なので、そういう「顔の見えない圧力」に負けて逃げるのは、絶対に嫌でした。
だから、発信し続けました。続けることで、向かい風が追い風になっていくと思ったので。
今となっては、金融情勢もだいぶ明るみになってきたので、私が以前から伝えていたことも、スタンダードになってきていますね。
あんちゃ:淡々と続けることで、自分の道が証明されていくと。
確かに、非難されたからといって、自分も同じようにやり返してたら、結局争いは無くならないし、同レベルのことをやってしまってるわけですもんね。
事実を捉える視点は、人によって違う
あんちゃ:小名木先生は、もともと歴史は詳しかったんですか?
小名木:そんなにですよ。ただ、会社員時代は通勤で往復2〜3時間かかっていたので、電車で毎日読書はしていました。古本屋のワゴンセールを漁っていましたね(笑)
ただ、ひとつの本を読んでも、人によって全然解釈が違うというのが、後になってわかりましたね。これは歴史も一緒で、同じ事実を見ても、そこに描いているストーリーは人によって全く違う。
あんちゃ:同じ本を読んでも響くところが人によって違ったり、同じ映画を観ても真逆の感想になったりしますもんね。
小名木:多くの人は、歴史の表面の部分だけを見て批評したり、決めつけてしまいます。だから、歴史を学ぶにしても、もうちょっと深いところ・・・事実のウラにはどんな背景があるのか?という視点を伝えたいなと思うようになりました。
小名木:とくに、古事記などの日本神話や、万葉集、百人一首などの古典文学は、なかなか読み解けない部分も多いですから、書き手が本来伝えたかったものとは、全く違う解釈で伝わってしまいます。
源氏物語なんかも、ただの恋愛モノの作品としか捉えられがちですが、文中では、人の弱さや葛藤、感情の移り変わり、男女の考え方の違いなど、とても繊細に描かれていて、文学作品として非常に優れています。が、その真髄はなかなか伝わっていません。
あんちゃ:確かに、わたしも文章を書く身として、日本古典に触れる機会が増えましたが、読めば読むほど味わい深く、こんなに美しい作品が日本にはあったんだと思うことばかりですね・・・。
小名木:戦前の人たちは、読み解けていたんですがね。これだけ高い精神性と、文化がありながら、それが現代に伝わっていないのは、非常にもったいないことだと思います。
あんちゃ:戦後からGHQによる教育方針の転換によって、今のわたしたちはまともに自分の国のことを知る機会が無くなってしまったように思います。自分から気づいて、情報を取りに行かないと、なかなか学べないですもんね。
あんちゃ:小名木先生も先ほどおっしゃってましたが、歴史を語っている人はたくさんいますが、多くの場合は「批評」で終始しているなと感じてます。
ある出来事に対して「これは正しい」「これは間違ってる」と論争している人はどこにでもいるのですが、じゃあ、その出来事の背景に何があったのか?その時代の人が何を感じていたのか?と深掘りして、モノゴトの真意に目を向ける人は、本当に少ないと思います。小名木先生の発信くらいでしか、見かけないかもしれません。(笑)
小名木:そうですね。たとえば、「織田信長の比叡山延暦寺の焼き討ちは、正しかったのか、正しく無かったのか?」そんなの、今さら議論しても、ホントのところは当時の人にしかわかりません。(笑)
だから、「なぜ信長が、比叡山を攻めなければならなかったのか?」と、考察していかなければならないわけですね。
あんちゃ:「ただ比叡山が嫌いだったから」とかいう単純な理由で攻めるような人物だったら、天下も取ってないし、部下もついてこないですもんね。(笑)
小名木:歴史は何のためにあるかといえば、学ぶためにある。批判するためじゃない。
これは、歴史だけじゃなく現代の政治についても、「こいつの政治が悪い」「どっかの国が悪い」と批判し続けても、変わらないわけです。
だったら、私たちがもっと前向きに考えて、自分たちから変わっていくしかない。
あんちゃ:ほんとそうですね。これって自分の人生に置き換えても一緒で、「あの人のせいでうまくいかなかった」「こんな状況にさえならなければうまくいったのに」と、他者や外部環境を批判しても、人生って何も好転しない。
失敗したときに、「じゃあ、次からどう振る舞えば前進できるかな?」と考えなきゃいけないですよね。
ーー小名木先生の著書でも、歴史を勉強する意義については、度々記されており、現代人の「学ぶ姿勢」についても一石を投じられています。
「歴史を語るとき、常に歴史を批評・批判する人がいますが、私はそれは間違いだと思っています。
あたりまえですが、私たちは過去の歴史の当事者ではありません。その時代に生きていたわけでも、その場にいたわけでもありません。それなのに、さもすべて見知っているかのように歴史を批評したり批判したりするなど、おこがましいことだと思うのです。
歴史は批評・批判するものではなく、「学ぶもの」だと思います。歴史から謙虚に学ぼうという気持ちを持ったとき、歴史は私たちに、未来を築き、いまを生きるための素晴らしい知恵や勇気を次々と与えてくれるからです。」—『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!』(彩雲出版)
人生は選択の連続である
あんちゃ:わたし自身、小名木先生から歴史を教わって、普段の日常でも、たとえば人とケンカしたときに、ただ感情をぶつけて終わりなんじゃなくて、「相手はなぜ怒ったのだろう?」「その裏側にどんな思いがあったのだろう?」と、ひとつの出来事から、目に見えない背景を感じるようになったんですね。
だから「学ぶ」って、ただ勉強して終わりなんじゃなくて、「どれだけ自らの人生、目の前の日常に落とし込めるか」だと思うんです。むしろ、そこに繋げないと、勉強する意味がない。
その点では、歴史を学んだおかげで、日常で起こるあらゆる出来事に対する解釈の仕方が、一層深まったなと思います。
小名木:そうですね。事件名とか、年号をいくら丸暗記しても、はっきり言って、それが社会に出て役に立つってことは、まず無いですよね。
「いい国(1192)つくろう鎌倉幕府」を覚えたからといって、人生でたくさん得した!ってことは、おそらくこれを読んでいる皆さんは無いはず(笑)
あんちゃ:はい、一度も無いです(笑)
小名木:でも、「源頼朝が、なぜ鎌倉に幕府を開こうとしたのか?」を考えるという経験は、人生のいろんな場面に役立ってくる。
歴史を学ぶってのは、自分自身が歴史の当事者となって、「自分だったらどう判断するだろうか?」を考える力を磨くことなんですね。そこに、正解も不正解もない。強いて言えば、「自分の頭で考えて答えを導き出す」というのが、正しい学び方だと思います。
あんちゃ:今の学校教育は、「自分で考える」とは真逆のやり方ですもんね。。誰かが定めた「正解」に必死に合わせないと、テストで良い点が取れないわけですから・・・。
小名木:人生は選択の連続ですから、その、一瞬一瞬の選択の積み重ねによって、人生が形作られていく。
自分の身体もそうですよね。今日の晩ご飯はお米を食べるか、ジャンクフードで済ますのか。その毎日の食事の積み重ねを、5年、10年、20年と続けた結果が、身体の健康状態に表れるわけです。
あんちゃ:ヘルシーな食事を続けるのと、ジャンクフードを食べ続けるのとでは、50年も経てばはっきり違いが出そうですね。
小名木:それならば、いろんな情報に接したときに、ちょっとでも自分のためになるような情報の接し方をしたほうがいいですよね。その、情報の捉え方・解釈の仕方を磨くために、歴史を学ぶ意義があると思います。
あんちゃ:なるほど。歴史上の出来事を「自分ならどうするだろうか?」と考えることで、自分の人生における「決断力」を磨いていくというわけですね。しかも、歴史上の偉人たちがどう判断したのか?というのも一緒に学べるから面白いです。その偉人たちの考え方や生き様も、自分の人生に取り込んでいけますからね!
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後編の記事では、
日本がなぜ建国されたのか?
日本人は古来からどんな価値観を持っていたのか?
など、わたしたちの原点に迫るお話しをしていただきます。
ぜひお楽しみに!
小名木先生の著書
『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!』(彩雲出版 2013/11/7)
『日本建国史』(青林堂 2021/2/5)
歴史×ビジネスを学ぶオンライン講座「NEXT TRIBE」
わたしが小名木先生と出会うきっかけにもなった、歴史を日常に活かす半年講座。
小名木先生のほかにも、面白い講師陣がたくさん登場してます。もっと歴史を学んでみたい、という人はぜひ。
※あんちゃも運営スタッフなので、たまに登場してます٩( ‘ω’ )و