25年間誰にも言えなかったコンプレックス「手汗」のことを、ここで全部言おうと思う。

物心ついた時から悩んでるんだけど、 手汗がひどい。

本当にひどい。

暑くないのに手汗だけが止まらない。

 

手汗がなければこんなに嫌な思いしなくて済んだのにってくらいにはずっとつらかった。

なぜこんなに手汗がでるのかはわからないけど、たぶん「手掌多汗症」ってやつなんだと思う。

気温とか、緊張とかの感情に関係なく大量の汗が出てしまう。

 

どれくらいひどいかと言えば、

  • ティッシュを握ると湿ってシワシワになる
  • グーで握ると汗が垂れる
  • 紙にメモするときに汗でふやける
  • 汗ですべってペットボトルの蓋が開かない
  • スマホやパソコンが汗で汚れるから毎日拭かなきゃいけない

などなど・・・

ドン引きした人がいるかもしれないけど、これを書くのにものすごく勇気を振り絞って書いているのでもう少しだけ読んでほしい。

 

 

手汗をかかない人は「たかが手汗なんて気にしなくていいのに」と思うかもしれない。

でも、驚くほど日常生活やコミュニケーションに支障がでてしまう。

みんなが意識していないだけで、日常生活のほぼすべてにおいて手を使っているからだ。

 

好きな人と手も繋げない。

握手を求められるのが怖い。

気軽に人とハイタッチすらできない。

自分が触ったものを人に貸すのを躊躇してしまう。

電車のつり革をつかむのが申し訳ない。

 

飲み会で「手の大きさを合わせよう〜!」とか「手相見よう!」なんてノリになったらもうわたしにとっては地獄なのだ。

 

ほとんどの人はわたしの手が汗ばんでいても気にせずにいてくれるんだけど、やっぱりたまにすごく嫌な顔をする人もいる。

でもその人は悪くない。

わたしの手が悪いのだ。

 

そういう素直な反応をもらってしまうと、気にせず握手してくれた人たちも心の中では気持ち悪いと思ってるんだろうな、とどんどんネガティブな方向に考えてしまう。

 

 

そうやって25年間気にし続けてきた結果、気軽に人に触れられなくなってしまった。

傷つくのがわかっているから、自分から人と触れ合わないように無意識に一線を引いてしまうようになった。

 

 

***

 

 

昔付き合っていた人に、「手汗なんか気にしないよ」と言ってくれる人がいた。

そんなふうに言ってくれる人が家族以外にもいるんだと、一気に救われた気持ちになった。

 

おそるおそる手をつないだ。

最初は大丈夫だった。相手も笑ってくれた。

 

でも、あまりに手汗が止まらなくて「さすがにすごいね、ちょっと離そうか」と言われた。

多分その一言にはなんの悪気もない。冗談交じりに笑いながら言ったのだと思う。

 

だけどわたしは申し訳なさと悲しさで胸がいっぱいだった。

 

サラサラの手なら、笑顔で手を繋げたのに。

こんなに悲しい気持ちにならずに済んだのに。

大切な人に気を使わせずに済んだのに。

 

 

 

それからその人とは手をつなげなくなった。

相手は「気にしなくていい」と言ってくれていた。でもわたしが耐えられなかった。

もう自分が悲しい思いをしたくなかったから。

 

 

 

***

 

 

子どもの頃は「大人になれば自然と乾燥するようになる」って言われたけど、大人になっても全然治らなかった。

どんな制汗剤を試しても無駄だった。 手汗を止める方法は調べ尽くした。(ほとんどがコピペのようなキュレーションサイトばかりだった。)

あとはもう汗腺を切る手術をするしかない。でもそれにもかなり大きなリスクがあって踏み出せていない。(代償発汗といって、他の部位から大量の汗が出るリスクがあるらしい)

だからもう、この手を受け入れるしかないのだと思った。

 

受け入れるためには、この胸の内を全部ぶちまけるしかないと思ってここに書いた。

 

 

 

***

 

 

正直このコンプレックスを誰かに伝えるのは怖くてずっと黙ってた。

周りの人に気持ち悪がられたらやだなって。もう傷つきたくないなって

だから手のひらを必死に隠して生きてきたし、誰にも自分の手を触らせないようにしてきた。

 

 

でも、それにも疲れた。

すべてを伝えて、誰かに受け入れてほしいという思いも強くなった。

 

 

「たかが手汗で」と思うかもしれない。

でも手が触れあったときに目の前で嫌な顔をされることがどんなにつらいかを、知ってほしい。

手に汗が滲んでいるのを面白がって汚いもの扱いして、バカにされる苦しみを知ってほしい。

 

「好きで汗かいてるんじゃない」「サラサラの手をしてる奴に私の気持ちなんかわかるわけない」と、なんども心の中でつぶやきながら帰り道で泣いていたあの日に気づいてほしい。

そしてその苦しみを味わっている人はわたしだけじゃないことも、知ってほしい。

 

 

 

ずっと自分を苦しめてきたコンプレックスと向き合うのはすごくしんどい。

ましてやたくさんの人に伝えるのはものすごく怖い。

ここまで書くのにもう顔が鼻水と涙とでぐちゃぐちゃだし、ついでにこの文字をパソコンで打っているときの手もぐちゃぐちゃだし、心臓もバクバクしている。

 

 

でも、これを書き終わって公開ボタンを押す頃には、すこしこのコンプレックスと向き合えているような気がする。

 

 

どんなにまわりの人に気持ち悪がられても、自分の手や、汗や、身体を、心から愛せるのは自分しかいない。

自分が愛せなかったら、一生この手を憎み続けてしまうから。

そんな人生は、もう今日で終わりにしたい。

これからは、もっと自分の身体を好きになりたい。

 

好きになって、無意識に引いていた「人」との距離を縮めていきたい。

 

 

***

 

 

手汗に限らずとも、自分自身にコンプレックスを抱えている人はたくさんいると思う。

そんな人は、その胸の内を勇気を振り絞って書き出してみてほしい。

人に見せなくてもいいから、頭の中の憎しみや悲しみをぶちまけてみると、少しはそのコンプレックスと向き合えるかもしれない。そしてそんな自分をちょっと好きになれるかもしれない。

 

現にわたしはぶちまけてよかったと思う。

ひとしきり書きなぐって、思いきり泣いて、疲れて、冷静になったいま、やっぱりすごくすっきりしている。

きっと少しは、自分の手を許せるようになってきたと思う。

 

 

 

わたしと仲良くしてくれているみなさん、実はわたしはこんなくだらないコンプレックスに25年間苦しめられていました。

意外とちっちゃい人間です。

くだらないから、これからは自分でも笑って受け入れていけるようになろうと思います。

 

 

わたしと同じように多汗症で悩んでいるみなさん。

誰にも言えずに悩んで苦しんで、つらい思いをしている人はネットで探してみるとたくさんいます。

もしあなたが今多汗症でつらい思いを持っているのであれば、その思いを書きなぐってみてください。ブログでも日記でもなんでもいいです。

誰にも見せなくてもいいし、わたしに見せてくれてもいいです。

書き出すことで少しずつ冷静に、多汗症と向き合えるようになるかもしれません。つらい思いをしたのはあなただけではないということを知ってほしい。わたしも、一緒にがんばっています。

 

 

くだらないわたしのちっぽけな覚悟を、最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

もし共感してくれた方はSNSでの感想・シェアしていただけるとわたしも励みになります。

まだまだ魂をこめた発信活動、がんばります。

 

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執筆屋あんちゃ
執筆屋です。意識高い人生哲学から下ネタまで幅広く。 大阪の珈琲屋「シロフクコーヒー」のバリスタ▶︎系列店「ゆにわマートオンライン」に最近異動しました。最近はよくインスタにいます。

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