西大井駅のマクドナルドは、一生忘れない。

一昨年の冬、わたしは品川よりちょっと下の、西大井というところに住んでいた。

 

毎朝満員電車で、つぎの品川まで呼吸をするのもままならないほど、身体が押し潰されながら通勤していた。

家は、家賃4万円ほどの、湿気っぽくて狭いシェアハウス。(都内では驚異的に安い)

 

そんな西大井駅の改札を出た隣に、マクドナルドがある。

24時間営業ではなく、24時で閉まるマクドナルドだ。

 

わたしは、生涯この場所を忘れないと思う。

 

 

社会人2年目の半ば、わたしは長く葛藤していた。

 

これから、どんな人生を歩むのか。

どんな働き方をしていくのか。

何も決まっていなかったからだ。

 

 

とにかく足を動かさなきゃと思って、いろんなイベントや勉強会に足を運んだ。

“自己投資”と言う名の出費はどんどんかさみ、毎月の19万円の給料では本当にギリギリの生活だった。

 

 

シェアハウスの部屋は、狭くてほぼ寝るためでしか使えなかったため、わたしはよく駅の横のマクドナルドにいた。

スタバでは300円するホットコーヒーが、マクドナルドでは100円で買えるからだ。

それくらい、とにかくお金がなかった。

 

 

わたしはそこのマクドナルドでたくさんの本を読み、自分の人生に頭を抱え、葛藤した。

 

 

2016年に入って、わたしはブログを始めた。

趣味程度、お小遣い程度にチャレンジしようと思った。

 

ブログを書くのは楽しくて、でも大変だった。

平日は会社が終わってからマクドナルドに入って閉店までブログを書き、土日も足繁く通った。

 

いつも店に入り浸ってて、迷惑な客だと思われていたかもしれない。

でもわたしは必死だった。

 

すきま風が寒い店内で、コートとマフラーをぐるぐる巻いて、冷えた指先でキーボードを打った。

今思えば、ブログにいろんな望みを託していたのかもしれない。ただ夢中でパソコンに向かっていた。

 

 

そんな生活を3ヶ月続け、わたしは昨年の4月に会社を辞めた。

まだ、ブログでは全然生計を立てられるレベルではなかった。でも、待ちきれなかった。

 

会社を辞めたと同時に、西大井のシェアハウスも解約した。

国内をまわりながらブログを書くことにしたのだ。

 

 

荷物を詰めて西大井から出発するとき、最後にもう一度マクドナルドに寄った。

アイスコーヒーを注文して、窓際のカウンター席に座った。

 

少し暖かくなってコートもいらなくなった店内で、これから未知の生活に思いを馳せた。

 

 

葛藤と不安とワクワクを共有したこの場所は、ただのファストフード店ではあるけれど、わたしにとってはひとつの忘れられない大事な場所である。

 

今でもたまにあのときの光景を脳裏に浮かべては、夢中で自分の人生を切り拓いた瞬間のあの鼓動を思い出す。

 

 

あのマクドナルドで過ごした時間をずっと忘れずにいよう。

いつでもあのときの鼓動を思い出そう。

 

それだけでわたしは、どんなことも乗り越えられるはずだ。

 

 

続編:深夜2時のミスドで独り、おもうこと。

 

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執筆屋あんちゃ
執筆屋です。意識高い人生哲学から下ネタまで幅広く。 大阪の珈琲屋「シロフクコーヒー」のバリスタ▶︎系列店「ゆにわマートオンライン」に最近異動しました。最近はよくインスタにいます。

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