憤りと悔しさを、誰かの歓喜に変えるために。

 

ご存知の方も多いですが、

わたしの実家はケーキ屋でした。

 

 

母はもともと、短大を卒業してパティシエの道に進み

わたしを出産する頃には一度離れ、

義父と再婚したタイミングで、ケーキ屋を開業。

 

 

当時わたしは小学5年生くらいで遊び盛りの時期だったけれど

毎日夜遅くまで仕込みをし、翌朝はわたしが起床するよりも早く家を出て

ときには店に泊まり込みで何日も家に帰ってこない親を横目で見ていて

 

自営で飲食店をつづけることがいかに大変か、なんとなーく実感していました。

(そこに一家四人の生活がかかっていたのだから、相当なプレッシャーだったと思います)

 

 

それでも両親はおいしいケーキを作るために

素材にこだわり、お店作りを工夫し、

最大限お客様に喜んでもらうためにはどうすればいいか?

ずっと考え続けて営業していたと思います。

 

食材は、こだわればこだわるほど原価は上がりますから

利益を出すには当然、経費をおさえたり、

販売する価格を上げないとやっていけません。

 

けれども、ご近所の方たちが買い求めやすい範囲におさめたい。

ほんとは金額など関係なく、老若男女みんなに食べてもらいたい。

 

本当に良いものを届けたいと思っているお店ほど、この葛藤のはざまで

どうにか折り合いをつけて価格を決めているのではないでしょうか。

 

 

さあ、そうなれば、次はいかに経費をおさえるか?

 

人件費はなかなか支払えないから、アルバイト雇用は繁忙期のときだけにしようか。

営業時間や日数を絞ってやってみる?

ケーキの種類を厳選してみようか?

 

そうやって、どのお店も必死で

お客様に最高のものを届けるのと同時に

自分たちも幸せな状態で働く道を探り続けていると思います。

 

 

わたし自身、実店舗の経営をした経験はないけれど

親の背中をずっと見てきて

妥協なく自分たちの信念を貫き、店を営むことの偉大さを感じてきました。

 

 

***

 

 

昨今、某ウイルスの影響によって

各地の飲食店は時短営業をせざるを得ない状況になり

それに伴う補償も十分なものとは言えず

道ゆく人は自宅で過ごすようになったことで客足は遠のき

苦しい思いをするお店がものすごく増えていると思います。

 

 

家の近所を歩いていても、

「この前オープンしたばかりのお店、ずっとシャッター閉まってるな」

「あれ、ここにあったはずの居酒屋さん、看板が無くなってるな」

「こっちのお店も、前はいつも満席だったのに最近ずっと空いてるな」

 

という光景を目にするばかりです。

 

 

今の政府の方針は、あからさまに飲食店へ「悪」のレッテルを貼っているようで、物申したいことは山ほどあるのですが、、

(けどここで無用な論争を巻き起こしても仕方がないのでやめておく)

 

それでも、不安が渦巻く世の中で、

少しでも安心しておいしいものを食べて欲しい。

食べるだけで不安が吹き飛ぶようなものを提供したい。

 

明日の自分たちの生活に一抹の不安を抱えながらも

こだわりを捨てることなく営業している店はたくさんあります。

 

 

 

だからこそ、わたしは悔しい。

 

 

彼らの覚悟を、見てみぬフリする国の方針に。

 

すべてを善悪で裁いてしまう世の中の情勢に。

 

過剰な同調圧力のなかで

シャッターを閉じる店を目の当たりにするたび

ゆき場のない憤りと悔しさが沸き上がってくるのです。

 

 

 

けれど、その憤りを誰かにぶつけるのは、ド三流の生き方だから。

 

だから、その感情のエネルギーを、少しでも彼らの支えに使いたい、と思います。

 

 

***

 

 

そんなわけで、わたしは今、

大阪のコーヒー屋で修行させてもらいながら

飲食店のプロモーションや、情報発信の戦略を練ったりと、裏方のお仕事もやらせてもらってます。

 

今までやってきた情報発信は「わたしがどう感じるか」に重きを置いていたのに対し、飲食店のプロモーションは

「お店の熱意と覚悟を、どれだけ感じ尽くして、お客様に代弁できるか」

という全く別の視点が必要で、これがまた面白くてやりがいのあることだなぁと感じています。

 

 

 

そこで今日は最後に、わたしが今「全人生かけてもいい」と思って携わらせてもらってる飲食店を紹介させてください。

 

 

そのお店は、「御食事ゆにわ」といいます。

 

 

公式サイト

https://uni-wa.com

(実はこのサイト作り&文章も、協力させていただきました)

 

 

これまでの人生、「食事はただ腹を満たすだけのもの」としか思ってなかった私が(パティシエの娘なのに・・笑)、

「御食事ゆにわ」の料理をはじめて食べたときに、涙が出そうなほど幸せな気持ちになったことを今でも覚えてます。(いや、もはや泣いてたかな・・)

 

 

それはきっと、

何が本当の食材の味なのかわからないほど味付けされ、大量の添加物を含む食事が当たり前だった私の人生の中で、

はじめていのちの味を知ったからだと思います。(もしくは、”思い出した”という感覚のが近いかな)

 

 

食事をモノとしてしか見ていなかった自分の生き方を恥じ、

「たくさんの尊いいのちによって、私は生かされている」のだと。

 

そんな、当たり前の、大切なことを思い出させてくれた場所でした。

 

 

料理には、作り手の生き方が表れると思います。(コーヒーも、文章も然り。)

表面的な言葉ではいくらウソをつけても、作った料理は、ウソをつけない。

 

御食事ゆにわの料理が本当に染み渡るのは、その料理を作っている人たちの、いのちへの向き合い方が

まっすぐ迷いのないものだから、なのでしょう。

 

スタッフのみなさん。ご飯食べながら人生相談するほどお世話になってます。

 

 

こんな不安定な世の中にも、

誰に言われずとも腹をくくって信念を貫いている場所があるということを

どうしても知ってもらいたくて、書きました。

 

 

ご時世的になかなか遠方の移動はできないかもしれないけれど

ぜひ一度は、食べにきてもらいたいなと思います。

みんな知ってるような著名な作家さんやスポーツ選手など、お忍びで通われる方も多いので。

 

心のブックマークに留めておいてください。笑

 

 

それでは。

 

 

関連記事:等身大で働き、稼ぐ。「究極の一般人」になる生き方。

関連記事:個人メディアはもう、SEO頼みでは長く生き残れない。